世界では、約5億人が小規模農業従事者であり、食用や販売用の作物栽培を小さな土地に依存 しています。生計を立てるため、農業従事者は品質の良い作物を売るしかありません。そのため、米、トウモロコシ、小麦などのでんぷん質過多な食事が主流となってしまいます。安価で量はあるかもしれませんが、このような食事には重要なビタ ビタミンやミネラルが不足しています。そうなると、感染症に対する抵抗力の低下や、脳や身体発達の低下など、健康上の問題を伴います。不健康な食生活は、経済的悪影響ももたらします。調査によると、幼年期に栄養失調になった 成人は、そうでない成人よりも、平均で20％程度収入が少なくなっています※。こうした状況が 重なると問題となります。栄養失調は、早期死亡と生産性の低下により、GDPを10％程度低下 させる可能性もあります※※。この問題への取り組みを支援するために、栄養価の高い食品と多様でバランスの取れた食事を促す 目的で、私たちは栄養改善のために Global Alliance for Improved Nutrition（GAIN） および IDH （the Sustainable Trade Initiative：持続可能な貿易イニシアチブ）と協力して、Seeds of Prosperityプログラムを 策定しました。私たちは共同で、タンザニアにある私たちの農園で、6,500人を超える農園作業者と茶葉農家、そしてその家族にこのプログラムを実施しました。その結果は良好なものでした。参加した人々は、食事が改善し、より健康的な食べ物を買えるようえるようになったと述べています。まだ始まったばかりですが、このプログラムは病院での貧血の症例を減らすのにも役立っているようです。未だ、世界の人口の4分の1以上が貧血に苦しんでいます。貧血は、主に食事に十分な鉄分が含まれていないことが原因です。これは倦怠感と脱力感をもたらし、特に女性の場合に、より深刻な健康上の問題をもたらす可能性があります。ティー・タンザニア・オペレーションの本部長であるアブダラ・ハマディによると、「私たちの バリューチェーンに関わる農業従事者の健康を改善することは道徳的責任ですが、それは 基本供給量を確保し、自社製品の市場を拡大し、ビジネスモデルを高めることにもなります。健全な労働力がなければ、健全なビジネスを行うことはできません。」と述べています。「質の悪い食事は、世界的に病気の最大の要因となっています。人々が適切な栄養素を含む多様な 食事をとることができれば、人、企業、経済を好転させます」とGAINの取締役である ローレンス・ハダッドは述べています。「私たちが、持続可能なビジネスの中核として、サプライチェーンに関わる労働者のために栄養価の高い食事の支援を行っているのは、 素晴らしいことです。」

Seeds of Prosperityプログラムは、労働者とその家族に多様な食事と その重要性について理解を促すものです。彼らが食べる品目を増やし、必須ビタミンやミネラルを より多く摂取するようにすることを目的としています。また、各家庭が家庭菜園や果樹を 育てることができるように種子も提供しています。 このプログラムでは、ポスターや給与明細に印刷したメッセージを通じて、健康的な食事を とることを意識させるようにしています。 次に、教育を受けた「先生」がこれらのメッセージを、保護者や学校の子供たちなどの多くの コミュニティに伝え、さらなる改善をもたらすよう意図されています。 こうしたアプローチは成果を出しており、予想よりも進んでいるかもしれません。福祉マネージャーのディクソン・ムセティによると、「最もやりがいを感じたのは、地元の レストランを訪れたとき、地元の人々が食品目について熱心に語り 合っていたときでした。プログラム参加者ではありませんでしたが、メッセージが浸透し、広まっている証拠だと 思います。」と述べています。

2016年にインドでパイロット・プロジェクトとして立上げられてから、ケニア、マラウイ、タンザニアのお茶のサプライチェーン全体にSeeds of Prosperityプログラムを 展開してきました。これまでに30万を超える人々がこのプログラムに参加していますが、さらにメッセージを 広めるよう取り組みを進めています。